国内サイバーセキュリティ企業の中でも独自技術と高い収益性で注目を集めるソリトンシステムズが、2025年12月期の第1四半期決算を発表しました。営業利益は前年同期比で21.3%増と大幅な増益を記録し、クラウド型セキュリティサービスの成長が顕著です。
一方、経常利益は為替差損の影響でやや減益となったものの、全体としては堅調な滑り出しとなっています。近年のサイバー攻撃の激化や、特に証券会社を標的としたインフラ型の攻撃が社会問題となる中、ソリトンのセキュリティ事業が改めて脚光を浴びています。
📊【2025年12月期 第1四半期決算の要約】
指標 | 実績 | 前年同期比 |
---|---|---|
売上高 | 45.85億円 | +0.2%(微増) |
営業利益 | 5.93億円 | +21.3%(大幅増益) |
経常利益 | 5.28億円 | ▲7.4%(減益) |
四半期純利益 | 4.00億円 | +2.4%(微増) |
粗利率 | 45.9% | 前年:44.8%(改善) |
✅ 営業利益が大幅に増加した背景には、
- 売上総利益の改善
- 販売管理費の削減(3.1%減)
があり、収益性の改善傾向が明確です。
🧩 セグメント別の概況
🔐 ITセキュリティ事業(主力)
- 売上高:43.08億円(+1.5%)
- セグメント利益:8.05億円(+5.1%)
- 高粗利のクラウドサービスが、前年比+20.2%と好調。
- 自社製品「NetAttest EPS」「D3」などをGIGAスクール対応で強化。
- 国産フィルタリングサービスにも新機能を追加し教育市場でシェア拡大中。
📹 映像コミュニケーション事業
- 売上高:2.26億円(▲25.7%)
- セグメント利益:0.02億円(▲92.7%)
- 公共案件の谷間による売上減。ただしウクライナ支援でZaoシリーズを活用した遠隔操作技術に展望あり。
🌱 Eco新規事業開発
- 売上高:0.49億円(+110%)
- 赤字幅縮小:0.37億円(前年は0.47億円)
- 官公庁向け小型伝送装置の受注など堅調。
🔒 サイバーセキュリティ関連としての注目点
最近、大手証券会社でのサイバー攻撃被害(ランサムウェア)が報じられ、セキュリティ関連銘柄に資金が流入しています。
✅ ソリトンの強みと追い風
- 国産認証・フィルタリング・端末制御・脆弱性診断を一気通貫で提供できる稀有な企業。
- クラウド型のセキュリティサービスの伸び率が20%超と急成長中。
- 政府の能動的サイバー防御推進(2025年2月の法案閣議決定)は、今後の公共案件拡大を後押し。
🔍【大手証券会社のサイバー攻撃:概要】
✅ 攻撃の種類:ランサムウェア攻撃(標的型)
- 社内システム・取引サーバー・データセンターなどが標的。
- 業務システムが停止し、一部の証券取引や顧客対応が不能に。
- 攻撃者がデータを暗号化 → 復旧と引き換えに身代金を要求する形式。
✅ 影響範囲
- 一部証券会社では、取引ツールが利用不能になったり、システムの再起動に数日を要したケースも。
- 顧客の資金流出や個別口座の乗っ取り被害は現時点で確認されていません(2025年5月時点)。
- ただし、機密情報流出の可能性が一部示唆されています(ログイン履歴、契約情報など)。
🛡️ 口座乗っ取りと今回の攻撃の違い
項目 | 口座乗っ取り攻撃 | 今回のランサムウェア型攻撃 |
---|---|---|
ターゲット | ユーザーの個人アカウント | 証券会社の内部ネットワーク・システム全体 |
主な手法 | フィッシング/パスワード漏洩 | マルウェア/内部脆弱性の悪用 |
被害範囲 | 個人レベル(資金流出) | 会社全体(システム停止、情報漏えい) |
対象の脆弱性 | 多要素認証の不備など | 社内端末のセキュリティ対策・脆弱性対応遅れ |
📝 投資視点まとめ
観点 | 評価 |
---|---|
営業利益 | 大幅増益、収益性向上◎ |
経常利益 | 為替差損(▲0.6億円)で一時的に減益 |
セキュリティ分野 | 教育・公共・重要インフラ向けで事業拡大余地大 |
株価材料 | 政府支援+実績ありのクラウド領域強化で“テーマ株”として注目可能 |
🎯 結論:今のタイミングは?
- サイバーセキュリティが社会課題として顕在化している今、ソリトンは中長期的に“買い検討に値する銘柄”と考えられます。
- 直近の株価が押している局面があれば、押し目買いの好機となる可能性があります。
本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、情報提供を目的としたものです。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。株式投資には元本割れのリスクがあることを十分ご理解の上、自己責任でご判断くださいますようお願いいたします。